なぜヴィクトリア朝のレディはティーガウンを愛したのか?

なぜヴィクトリア朝のレディはティーガウンを愛したのか?
1日の着替え文化と「自分のための優雅さ」

ごきげんよう、優雅をお求めの皆様。
ROSE(ローズ)と申します。

前回はアフタヌーンティーの心を整える時間についてお話ししました。
今回は、そのティータイムに欠かせなかった「ティーガウン」に焦点を当てます。

目次

ティーガウンとは、どんな衣装だったのか?

ティーガウンは、ヴィクトリア朝後期からエドワード朝にかけて流行した、ゆったりとした室内着です。1870年代頃から1900年代初頭にかけて特に親しまれ、午後の光が差し込むサロンで紅茶を楽しむひとときにふさわしく、レースやシルクをあしらった優雅なデザインが多く見られました。コルセットの締め付けを和らげて着用できることも多く、くつろぎと気品を両立した装いとして、多くのレディたちに愛されました。

ヴィクトリア朝の着替え文化

ヴィクトリア朝の上流階級のレディたちは、1日のうちに何度も着替えるのが一般的でした。

Morning Dress(午前中の普段着)で1日を始め、外出や訪問の予定があればWalking Dress(外出着)やVisiting Dress(訪問着)に着替え、午後にはAfternoon Dress(午後の社交着)、そして家でくつろぐ時間にはティーガウンへ——というように、場面や時間帯に応じて装いを変えていました。

この「着替える」という行為は、時間や気持ちを切り替える優雅な儀式でもありました。

ティーガウンと午後のティータイム

アフタヌーンティーが親しい間柄で開かれる場合には、ティーガウン姿で客を迎えたり、同じようにティーガウンで訪問したりすることもありました。

格式ある晩餐会とは異なり、午後のティータイムはよりくつろいだ社交の場でした。レースやシルクがやわらかく揺れるティーガウンに身を包み、午後の光が差し込むサロンで紅茶を味わいながら、読書や音楽、穏やかな会話を楽しむ——そんな心地よい時間が、レディたちにとって日々の楽しみでもありました。

「見せる服」ではなく、「自分のための服」

社交界で着るドレスは、人に見られるための装いでした。

しかしティーガウンは、家で過ごす時間のための衣装です。来客を迎えることはあっても、舞踏会ほど格式ばったものではありません。

それでもレディたちは、美しいレースや上質なシルクを選びました。誰かに見せるためではなく、自分自身を丁寧に扱うため——それこそがティーガウンの本当の魅力だったのです。

ティーガウンとコルセットの関係

ティーガウンが人気になった理由の一つに、「コルセットの締め付けを和らげられる快適さ」があります。当時の女性たちは一日中強く締められたコルセットを着用しており、息苦しさや体調不良を訴える人も少なくありませんでした。

ティーガウンはその締め付けから少し解放されることで、午後の時間をより快適に過ごせる装いとして親しまれていたのです。

現代の私たちがティーガウンから学べること

現代では1日中同じ服を着ることが多いですが、家に帰ったら少しだけ「自分を労わる服装」に着替えてみる——それだけで心の切り替えになり、優雅な気持ちになれるかもしれません。

私も、家に帰ったらお気に入りのルームウェアに着替え、一杯の紅茶を楽しむ時間を大切にしています。ティーガウンのように「自分を大切にするための一着」があるだけで、慌ただしい一日が少し穏やかに感じられるものです。

✧ Princess Lesson

家で過ごす時間は、誰にも見られていない時間かもしれません。
けれど、その時間をどう過ごすかが、その人らしい気品を育てます。

レディたちは、人前だけではなく、一人で過ごす午後にも美しさを忘れませんでした。

今日、自分のために一枚の服を選ぶこと。
誰かのためではなく、自分自身を大切にするために。
その静かな心遣いこそが、時代を超えて受け継がれるレディの気品なのかもしれません。

✧ Princess Closet

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※本記事は、中野香織氏『ロイヤルスタイル 英国王室ファッション史』をはじめ、ヴィクトリア朝や英国王室文化に関する資料・文献を参考に執筆しています。

✧ Continue Your Lesson

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